2006年02月20日

南仏プロヴァンスの風景(2)~「プロヴァンス組曲Ⅰ・Ⅱ」

こんばんは。今日も寒いですね・・・来週の演奏会当日はどうなのでしょう。
適度に温かくなって、お客さんが「散歩がてら、ちょっと聴きに行ってみようかな」という気持ちになってくれたらいいですね。

さて、では先日の続き、次、「プロヴァンス組曲」、行ってみたいと思います。

ダリウス・ミヨーの「プロヴァンス組曲」、これは全部で8つの曲から成っています。
そして、それぞれのタイトルは、おそらく、その土地に伝わる民族音楽に因み、そして、
プロヴァンスに住む人々、仕事、風俗習慣、伝統行事、などの日常風景に因んでつけられているものと思われます。

ところがこれが、タイトルを見ても私には一向にわからなかったわけです。
なぜって、フランス語だったから。
「これって、どう発音するんだろう・・・ジュ?ブ、ブ、ブルボン?ペケ?キャシャーン?」
(一体どの曲のことか、楽譜を持っている人はご想像ください(笑))

というわけで、タイトルの意味、ちょっと調べてみました。

Ⅰ「Guardians」=守護者、守衛、警備人、などなど。
Ⅱ「Cueillette des amandes」=アーモンドの収穫
Ⅲ「Joueurs de boules」=球遊びをする人々
Ⅳ「Pecheurs」=漁師
Ⅴ「Chasseurs」=狩人
Ⅵ「Vendanges」=ブドウの収穫
Ⅶ「Bergers」=羊飼い
Ⅷ「Farandole」=ファランドール

どうですか。
プロヴァンスの事を調べていて、だんだんわかってきたのですが、主にこれらのタイトルは、
プロヴァンスという土地を紹介するには外せない情景を描いています。
これらはまさしく、プロヴァンスを愛した生粋のプロヴァンス人、ミヨーならではの地元組曲だといえます。

で、プロヴァンスとはどういう土地か。
プロヴァンスは、フランス南部の地中海近くに位置するだけあって、
陽光がまぶしく、そして目の覚めるような空の青、海の青に囲まれています。
そして、時には強風ミストラルが襲い掛かりながらも、
牛、馬、羊、ぶどう、アーモンド、オリーブ、米、麦などの農業、
また地中海の漁港による漁業、
そこで収穫される自然の恵みや市場の色彩が、日々の暮らしに彩りを添え、

そして、昼下がりのカフェで交わす冗談交じりの世間話、噂話、
仕事帰りにひっかけるアルコール度数強めのパスティス、そこでもまた世間話、
外に出れば、けだるい午後に街の広場で延々と興じられるオヤジたちのボール遊びペタンク、
厳しい自然に負けずに生きる人々の力強く骨太な暮らしが、
プロヴァンスでは営まれているようです。

でも、タイトルだけではまだちょっと、実際の曲と結びつかないなあ、と思って、
もう少し、調べてみました。

Ⅰ「Guardians」=(カマルグ地方の)牛(馬)の番人。

これは、、、うーん、どこの守衛さんのことを指しているのか、よくわかりませんでした。


と思っていたら、F谷さんがこれがネタ元?と思われる資料を見つけ出してきてくださいました。
http://www.tourisme.ville-arles.fr/a6a/a6a4.htm

この曲だけ何故か、フランス語ではなく英語表記のタイトルなので、今まで単純な意味しかわからなかったのですが・・・
フランス語に直すと、こういうつづり、また意味だそうです。

小学館仏和大辞典より:
gardian : (カマルグ地方の)牛(馬)の番人 (プロヴァンス語gardian)

前回の「アルルの女」紹介記事でも少し書きましたが、カマルグ地方は自然が多く残る広大な湿地&平原で、野生の馬が生息していることで有名な土地です。(最近は減ってい
るようですが・・・)

上のアルル観光局のサイトによると、この地方では、牛や馬が半自然の環境で飼育さ
れ、manadeといわれるその群れを、les gardiansと呼ばれる番人たちが馬に乗って、管理
しているそうです。
歴史は古く、16世紀にはles gardiensの組合のようなものが組織され、毎年5月1日の
「Gardiensの祭り(Fete des gardiens)」に各地から集まり、3年毎にリーダーが選ばれます。
今でもこのお祭りは続いているのだとか。

この職業には特に衣装は統一されていなかったのですが、19世紀にある公爵が
"Nacioun Gardian"を組織した際に衣装が決められたのがキッカケのようです。(サ
イト内の写真)

なるほど、馬(牛?)の番人でしたか。(以上2月24日加筆)

オープニングに相応しい、勇壮な曲のイメージにぴったりのエピソードなような気がします。
背後に流れる基調となるリズムが変則的で、力強く踏み込みながら前に向かって走っているようなイメージがあります。
そこにメロディーがかぶさり、私には最高にカッコイイ曲の一つです。

Ⅱ「Cueillette des amandes」=アーモンドの収穫
この曲は、アーモンドの収穫祭ででも流れる音楽がモチーフなのでしょうか。
アーモンドって、あの、チョコレートに時々入っているやつですよね。
でも、そもそもどこに実が成って、どうやって収穫するものでしょう。
調べてみると、木に成るようです。
カリフォルニアが有名な生産地であるように、乾燥した温かい土地で良く育つようです。
アーモンドは1年かけて育ち、秋から冬にかけてつぼみが膨らむと、
春には桜に似た、かわいいピンク色の花を咲かせます。
↓満開のアーモンドはこんな感じ。
http://e-fruitpark.com/alm_fes_gallay.htm

そして受粉し、夏の間に成熟すると、初秋にはいよいよ収穫となります。
アーモンドは、実が自然に落ちてこないため、「シェイカー」と呼ばれる機械で木を揺すって落とすそうです。
その時に、アーモンドが一斉に木から落ちてくるため、「アーモンドシャワー」と呼ぶそうです。
模様はコチラ。アーモンド様の物体が、木からボトボト落ちてます。
http://www.bdalmonds.com/califinf/process.html

また、アーモンドについてもっと詳しく知りたいという方は、
こちらでより詳しい情報が載ってますのでどうぞ。
http://www.californiaalmond.jp/knowledge/harvest.html


また、団内MLでの情報によると、アーモンドには別の意味合いも含まれているようです。
またまたF谷さんの情報をそのまま拝借させていただきますが、

プロヴァンス地方の有名な都市、エクサンプロヴァンス(Aix-en-Provence)はアーモンドの生産地です。
20世紀には世界的な取引の拠点であったとか。
この地方のお菓子にはアーモンドがよく使われているそうです。
エクサンプロヴァンスの特産、プロヴァンスの代表的なお菓子で、カリソン(Calisson)というものがあるのだとか。
http://www.aixenprovencetourism.com/aix-calissons.htm

アーモンドをペーストにして、フルーツシロップ、はちみつなどを練りこみ、卵白で
表面を、白い花びらのような形にしたものです。こちらの歴史は古く、15世紀のル
ネ王の結婚式のときに出されたものが起源のようです。

現在に至っても、アーモンドは結婚式や子供の誕生などのお祝いに使われています。
なんとここ日本でも!
新郎新婦から皆に配る「ドラジェ」(アーモンドを白やピンクなどキレイな色の砂糖で包んだお菓子)
はもともとはヨーロッパの習慣だそうです。

http://park14.wakwak.com/~mino/dor1.htm
http://www.bdalmonds.com/almond/story2.html

また、もっと古くからでは、旧約聖書の時代から、アーモンドは神聖な食べ物として、
珍重されてきたことが伺えます。
http://www.bdalmonds.com/almond/story.html
(以上2月24日加筆)

はたしてこの情報で、どれくらい曲のイメージに近づけたかはわかりませんが(^^;)、
参考までに。
個人的には、曲の後半のイメージって、なんとなくアーモンドシャワーだったりするのかな、とか思うのですが、
どうでしょうね。

とりあえず、そんな感じです。
ちょっと書きすぎました・・・
今日はここまで。続きは次回に。

投稿者 konkiti : 2006年02月20日 02:17
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