2004年12月23日

一足早いクリスマス

昨日、演奏会に行ってきました。
棚からぼた餅で、大学のサークル時代の後輩からチケットを譲ってもらったんです。

場所は紀尾井ホール。四ッ谷駅の近くです。
ジョン・健・ヌッツォという人の歌のクリスマスコンサートでした。

午後6時半ごろ駅に着くと、辺りはもう真っ暗で、上智大学の教会のステンドグラスとか、ホテルニューオータニのイルミネーションとか、温かい灯りがきらきらしていてとても綺麗でした。

演奏会は静かな歌曲集から始まりました。
「詩人の恋」という、ハイネの詩にシューマンが作曲したものみたいです。
ホールが真っ暗になり、おもむろにヌッツォさんとピアニストが出てくると、薄暗い照明の中で椅子に腰掛けたまま、ヌッツォさんが歌い始めました。
その声の柔らかなこと。
よく知らない曲の連続だったのと、前日の睡眠不足で何回か首がぐらぐらしましたが、ヌッツォさんの艶のある歌声と、おそらくホールのあまりの音響の良さに、本当にしばし現実を忘れました。

後半は、クリスマスソング集と言うことで、私も良く知っている、「アヴェ・マリア」だとか、「星に願いを」だとか、「ホワイトクリスマス」などを、外国での下積み時代の体験談も交えつつ、和やかな雰囲気の中でたくさん歌ってくれました。

テノールの方なので、歌もかなり高音部が随所にあったんですが、難しそうな高音も見事に柔らかく気持ち良さそうに歌っていて、聞いている側も、次の高音はどんな声を出すんだろうとか、期待しながら聞く事ができました。

それに、ヌッツォさんだけではなくて、ピアニストの中島剛さんという方も、ピアノ、柔らかい音色でとても素晴らしかったです。クラシック畑の人だと思うんですが、ヌッツォさんと中島さんの演奏を聞いていると、柔らかくて上品で艶があって、ブルーノートとか高級なバーでお酒飲んでる気分になりました(いや、行ったこと無いのであくまで想像なんですが)。

この演奏会、チケット実は1万円という高価なお席だったのですが、まさしく1万円払ってでも聞く価値のある演奏会だと思えました。客層も、ステッキもってたりシルクハットかぶってそうなおじさまとかお家ではしょっちゅうお茶会とかやっていそうなおばさま方が多くて、高級感があふれていました。

で、最後の曲は聴きに来てる娘さんの名前にちなんで「ウェスト・サイド・ストーリー」の「マリア」でした。終わった途端、演奏会始まってから何回目かの「ブラボー」が聞こえ、拍手が鳴りやまず、一生懸命頭の上に両手を伸ばして手を振っている人たちがいたりして、ヌッツォさんもそれに答えて手を振ってて、なんかホントに良い雰囲気でお開きになりました。
私もずっと拍手していて、おそらくアンコール(あまり拍手が続くので、「もうホントに最後」と言いながら、2回アンコールしてくれました)の前後も含め5分くらいずっと拍手していた気がしますが、本気で拍手するのが惜しくなかったのはこれが初めてです。
惜しみない拍手って、ホントにあるんだなあ、という感じ。

良いもの聞かせてもらったなあ、という気持ちと、やっぱり本物に触れなきゃなあ、と、二重の意味で良い経験をさせてもらいましたです。

それから、紀尾井ホール、ホントに音響良かったですよ。
“未完成』にはちと厳しいお値段だと思うんですが、音響の良い所でできる演奏会っていうのも、体験できるにこしたことはないですよね。
ヌッツォさんが、ハイネの曲を、「紀尾井ホールでこの曲歌えて気持ちよかったです」って喋ってましたが、演奏会本番で自分の音に聞き惚れる瞬間っていうのも、味わいたいものです。

一足早いクリスマスでしたが、こんな贅沢な気分になれて、24日25日はもう、その思い出だけで過ごせそうです(笑)。

投稿者 konkiti : 2004年12月23日 17:21
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